本研究では、ボリュームデータの対話式切削操作について述べる。
3次元X線CT装置では3次元配列上に組織の性質を反映したスカラ情報を得 ることができる。これをボリュームデータと呼ぶ。
近年、計算機の性能向上により、X線CT像などの3次元ボリュームデータを 計算機上でリアルタイムに可視化や編集可能となった。 一般に計測器から得られたデータは、計測範囲におけるすべての情報を含んで おり、利用者の興味のある情報のみを得るためには、編集作業により切り出す 必要がある。
従来より、表示されている画像から位置を指定して、そこから直方体などの 決まった形の領域を削り取ることはできたが、物体が複雑な立体形状を持って いる場合、削り取る単位を大きくすると必要な部位まで、小さくすれば作業量 が増えてしまい切り出すのが困難であった。
そこで、ボリュームデータ3次元構造を考慮して切削領域を制限する手法を提案する。 切削範囲を球形状とし、その範囲内での連結情報を利用して細部に対する選 択性の向上をはかる。対話性を高めるために、切削後のプレビュー表示を行 う。実験の結果、細部に対する操作性の向上が確認できた。