これまで,常微分方程式に対する数値解法は数多く提案されてきた.
しかし,これらの多くは,
離散化誤差,入力誤差や丸め誤差の影響を評価する手段を持たないため,
計算精度に対する絶対的な保証はない.
そこで本研究では,基本となる算法として,
微分方程式の解を求めるPicard反復に
不動点定理を適用することで解の存在範囲を確定する.
計算機に実装する際には,Picard反復にあらわれる積分を
FFTによる数値Taylor展開の項別積分で近似する.
この近似積分法は,高速かつ高精度である.
また近似積分の誤差の上界も理論的に求められる.
さらに,すべての計算を円板算法で行うことにより,
入力誤差と丸め誤差の影響を完全に把握する.