近年における計算機のコスト・パフォーマンスの向上により、新たな並列処理環境として計算機クラスタ環境が注目されている。並列処理を実現には専門的な知識が必要であるが、並列化コンパイラを用いると容易に実現できる。しかし、計算機クラスタ環境はその構成が多様であるため、それぞれの環境に対応した並列化コンパイラを用意するのは困難である。そこで、並列化コンパイラ全般において共通となる作業を自動化し、並列化方針と計算機環境を記述することにより並列化コンパイラを自動生成する並列化コンパイラ・ツールキットを開発している。
本稿では、並列化コンパイラ・ツールキット内の処理の一つである並列タスク生成処理において、タスク間通信を効率化することにより通信処理の実行時間を削減する手法について述べる。タスク間の通信処理を統合などをした場合の実行予測時間を計算し、適用前の実行予測時間と比較することにより、効率化を図る。実行予測時間は、通信処理をモデル化し、並列実行をシミュレーションすることで計算する。