本論文では、実内視鏡カメラ像のオプティカルフローを解析することによりカメラの ３次元的動き（３次元的な移動と回転）を直接求める手法について述べる。
医用内視鏡ナビゲーションシステムでは、実内視鏡カメラの位置及び動きを取得する 必要があるが、現在のところカメラの先端にセンサーを取り付けることが困難である ため、我々は実内視鏡画像からカメラの動きを推定することにした。従来の手法では 実内視鏡像と仮想化内視鏡像間の類似性を評価してカメラの動きを推定するため、形 状に特徴がある部分での推定に有効であったが、カメラの前後動作などフレーム間で 画像があまり変化しないような動きの推定に失敗するという問題があった。この問題 を解決するために、本手法ではオプティカルフロー解析によりカメラの動きを推定す る。具体的には、実内視鏡像の各フレーム間の点の対応を求め、その対応関係からエ ピポーラ幾何を用いてカメラの動きを復元する。求めた動きを従来手法に適用しカメ ラの３次元的位置を推定する。
本手法を用いて気管支部分の実内視鏡像から実内視鏡の動きを推定した。その結果、 概ね仮想化内視鏡において実内視鏡カメラの動きを再現できた。