氏名: 長尾 慈郎 (089731263)

論文題目: 動画像情報と陰影情報を用いた物体形状復元とその内視鏡画像への応用


論文概要

 陰影情報を利用して物体形状を復元する方法 (shape from shading) を用いて気管支内視鏡画像から気管支の内部形状を復元する手法について 予備的検討を行う。

 画像情報から物体の3次元形状を復元することは 従来から盛んに研究されており、代表的な復元手法として 多視点画像上の点を対応させて形状を復元する手法や、 動画像をもとに復元する手法などがある。 これらの手法では、状況によっては 精度の安定性や 対象が剛体のみに限定されるなどの問題点がある。 これに対して shape from shading を用いた場合、 特徴点の少ない対象の高精度な復元や、 対象形状の時間的変化に影響されない復元が可能となる。 気管支など、 人体内部は鼓動や呼吸などにより完全な剛体ではなく常に形状が変化しており、 この特徴は人体への適用に有利であると考えられる。

 本論文では、 shape from shading の一手法として提案された 岡谷らによる形状復元手法を実装・評価して その有効性と問題点を確認する。 岡谷らは、 単一画像のみを入力とすることによる 絶対的な情報の不足を補うため、 光源を視点に固定した。 形状を復元するには視点表面間の距離と 物体表面の傾きを得る必要がある。 しかし双方を同時に得ることができないため、 距離が既知である点において表面の輝度から傾きを求める。 これを用いて近傍の局所的な形状を構築し、 得られた表面形状から新たに距離が既知の表面を得る。 以上を逐次的に繰り返すことで全体の形状を得る。

 いくつかの幾何学的形状と 仮想化気管支内視鏡画像に対してこの手法を適用し、 実際の気管支内視鏡画像に適用するための予備的検討を行った。 実験の結果、陰影情報から物体の形状を良好に復元できることを確認した。 さらに動画像から得られる時系列情報との統合についても 検討を加える予定である。


目次に戻る


提出時刻:2001/02/09 09:35:06