通常、肺血管は肺門部から放射状に一様に分布している。しかし悪 性腫瘤が存在すると、腫瘤周辺の組織が腫瘤に引き寄せられ(集束)、 腫瘤が存在する肺葉が収縮する。そこでこの肺葉の収縮を定量化す ることにより,腫瘤の良悪性鑑別のための特徴量とする。しかし、 実際に肺葉の収縮の程度を定量化するのは困難であるため,肺葉の 収縮の程度と密接な関係をもつ血管の分布の偏りを調べる。
具体的には血管の太さごとにボロノイ領域を求め、この体積の分散 (これが血管の分布の偏りを表す)を肺野領域及び腫瘤周辺におい て求め、この比を特徴量とする。
実際にあらかじめ腫瘤の位置、大きさ、および良悪性が既知である 症例に本手法を適用した結果、この特徴量が腫瘤の良悪性の評価に 有効であることが確認された。