氏名: 花木美穂 (089731352)

論文題目: 人類学応用のための3次元X線CT像に基づくエジプトミイラの対話的可視化・計測 機能の実現


論文概要

 従来,エジプトミイラの骨格観察は,単純X線撮影により得られたフィルムによっ て行われていた.し かしX線CT撮影装置の登場によってディジタルデータの取得が可能になり,その データから計算機上で のミイラの3次元像の構築が可能となった。以前,本研究室において1988年に撮影 されたCT像の復元 が行われた.

 近年のCT装置の進歩により,高精度なCT像が得られるようになり,高解像度の データを使って観察を行うために,ミイラの撮影が再び行われた.また計算機のほう も,著しいCPUの速度向上とメモリの増大により,解像度の高いデータを扱えるよ うになった.

 本研究では,高解像度のX線CT像から得られたデータから,ミイラの3次元像を 構築し,人類学的な 計測を支援するためのシステム作りを目的として,対話的可視化と計測機能を実現す る方法を提案する. 今回使用したCT像は1997年に撮影されたものである.主な処理を以下に箇条書きで 示す.

・ミイラのCT像は部位ごとに異なる解像度で撮影されていたので,全身像を得るた めに,前処理として 線形補間を行って,解像度を統一した.

・本研究室で開発されてきた仮想化内視鏡システム( Virtualized Endoscope System:VES )を用いてボリ ュームレンダリングで表示した.この際,VESの中で用いられている投影方法を,透 視投影から直投影に変 えた.これは,人類学的な観察・計測には,視覚的な歪みのない投影法が適している と考えられるからで ある.

・VESの中の3次元像上の2点間の距離計測機能を,直投影に適応させた.

これらの処理を行った結果,1つの画面上で,全身像から任意の部分を取り出して観 察し,同時に計測も 行うことが可能になった.


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提出時刻:2001/02/09 15:20:58