本論文では,二乗誤差を判定基準として用いるブロックマッチングの高速化手法を提案し, その高速化性能の評価を行う.
ブロックマッチングはパターン認識や,動画像解析などのための基本的な技術である. 特に,2つのブロック間の二乗誤差の総和を判定基準として用いるものは, 動画像符号化の動き予想フレーム間予測や,フラクタル画像符号化等の要素技術として 広く用いられているが,演算量が多く実時間処理などする上での大きな障害となる.
本手法では,ブロック間の距離値を求める前にブロック内の画素値の総和をもとにして 求められる演算量の少ない評価値を用いて,そのブロックが最近似ブロックとなり得ない場合を 間接的に判定する.これにより,実際の距離値を求めるブロックの数を大幅に削減し, 処理時間を大幅に削減することが可能となった. また,本手法は従来法であるSSDA法と組み合わせて用いることができるという利点があり, 組み合わせたときの高速化性能を動画像の2フレーム間の動きベクトルを 求める場合を例にとって評価を行い, 本手法が多くの場合において有効であることを確認した.