ディジタル技術の発達により，画像処理への要求はより高度化，専門化が進み， 画像処理に関する知識の必要性はますます高まっている．また，これまで数多 くの画像処理の基本的手法が開発され，蓄積されてきているが，専門的な知識 を持たない一般ユーザがこれらを統括して容易に扱うことは困難である．
本研究室では，従来より画像処理エキスパートシステムIMPRESSを開発してき た．IMPRESSは，抽出したい領域を画像特徴ではなく，画像形式で直接指定す るため，画像処理に関する専門的な知識を持たない一般ユーザでも容易に扱う ことが可能である．しかしながら，従来型のIMPRESSでは，構成する画像処理 手順（ゴール）が単一であったため，抽出する領域内に画像特徴の大きく異な る領域を含む場合に，これらを同時に抽出できる画像処理手順の構成が困難で あった．
そこで本論文では，抽出したい領域を画像特徴で分割し（ゴール分割），各ゴー ルに到達できる複数の画像処理手順を構成するゴール分割型IMPRESSについて 述べる．具体的には，従来型と同様に手順構成を行ない，抽出できなかった領 域を抽出する手順を新たに順次構成し，構成された複数の手順によって抽出さ れる領域の和集合を持って最終的な抽出領域とする．本手法を人工画像に適用 し，その有効性を確認した．