氏名: 酒井 大介 (289934117)

論文題目: MLの型推論に基づくJoin算法の型推論システムの構築


論文概要

並行計算モデルであるJoin算法の記述法をJAVAに組み込んでスレッドプログラ ミングを容易にすることを目的としてプログラミング言語JoinJAVAが設計され, そのコンパイラが開発されている.Join 算法には型推論システムが定式化され ており,与えられたJoin算法プログラムの型推論が成功すれば,そのプログラ ムの実行時に型不整合が生じないことが保証される.しかしながら,JoinJAVA コンパイラにはJoin算法記述部分についての型推論が実装されていない.本研 究の目的は,Join 算法の型推論を実現し,JoinJAVAコンパイラに組み込むこと である.

Join算法の型推論システムは型判定式を推論する規則の集合からなり,その推 論を行うアルゴリズムを開発することは容易ではない.本研究のアイデアは, Join算法の型推論を関数型プログラミング言語SMLの型推論に帰着することであ る.すなわち,Join算法プログラムJを次のようなSMLプログラムM に変換する.Jの型推論が成功するときかつそのときに限り,Mの型推論が成功 する.SMLの型推論はSMLインタプリターで行えるから, Join算法プログラムの型推論は次のようにして行える.まず本論文の変換を用 いてJoin算法プログラムSMLプログラムに変換し,得られたSMLプログラムをSML イタプリタにロードする.ロードした結果,型エラーがあれば元のJoin算法プ ログラムにも型エラーが存在する.型エラーが無ければ元のJoin算法プ ログラムは型不整合を生じないと判定できる.

またこの変換が健全であること,すなわち, MのSMLにおける型推論が 成功するならば,Jの型推論も成功することを証明した.


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提出時刻:2001/02/09 09:30:49