氏名: 高木 豊典 (289934150)

論文題目: 時間付きデザインパターンに基づく 実時間並行ソフトウェアの開発手法


論文概要

本論文では,実時間並行ソフトウェアの再利用性を向上させる ことを目的とし,オブジェクト指向分析・設計のデザインパターンを 用いた開発手法である時間付きデザインパターンを提案する.

デザインパターンは再利用の観点から有効である.実時間ソフト ウェアを再利用するためには,従来提案されているデザインパターン において,時間を明示的に扱う必要がある.時間付きデザインパタ ーンでは時間制約を持つオブジェクトの振舞いについて,メソッ ド実行に対する時間制約をAlurの時間オートマトンによりモデル 化して記述する.プログラムの実行における時間制約は,時間オー トマトンに対する検証手法によって保証する.時間オートマトン で表される振舞いを合成し実時間スレッドで制御することで,デ ザインパターンに沿ったソフトウェアを実現する.

本手法では,ソフトウェア構造に含まれる時間制約を持つ振舞い だけを取り出して時間オートマトンでモデル化するため,ソフトウェア の構造と時間的性質を分離して扱うことができる.このことで,時間的性質 とソフトウェアの構造の関係を明確化でき,時間制約の持つソフトウェア構造 の再利用が容易になる.本手法の具体的な応用例としてマウスの イベントハンドラをRT-Linux上に試作した例を示す.


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提出時刻:2001/02/08 11:16:28