近年、論文を視覚的に分かりやすく伝えるための手段として、プレゼンテー
ション・スライドがますます重要となり、それと併せてその作成を支援するよ
うなシステムの必要性が増大している。
そのような要求を受けて、プレゼンテーション・スライドの作成支援ツールが
盛んに開発されており、様々な形態のスライドの作成、編集が可能になりつつ
ある。
その代表的なツールとして、MicrosoftのPowerPointが挙げられる。
ユーザはPowerPointから提供される箇条書きや図形、表などのオブジェクトを
適宜配置し、それらを編集することで、思い通りのスライドを作成することが
できる。
しかし、PowerPointの機能が十分であるとは言えない。
一つは、元となる論文があっても、人間が一からスライドを作らねばならない
ため、非常に手間がかかることである。
一つは、オブジェクトが文章や図の内容、いわゆるモデルと
それらをどのようにスライド上に表示するのかの情報、いわゆるビューを
一緒に保持しており、オブジェクトの意味付けがされていないため、
スライドの見せ方を変更するにも多くの手間がかかることである。
それらを解決するため、我々は論文からプレゼンテーション・スライドの作
成を行うシステムの構築の研究を行っている。
その方針は、スライドへ載せる元となる論文を解析し、スライドに載せるのに
ふさわしい表現へ変換する。
さらにそれらをスライド上に配置するための情報を得たものを「部品」として
扱い、
その部品属性と部品間関係によってスライド上へ「部品」を配置しスライドと
する。
また、モデルとビューの情報の管理を分離することにより、スライドの見せ方
の変更を容易に実現する。