氏名: 南 利明 (289934281)

論文題目: 減算シフト型立方根計算LSI


論文概要

近年、集積回路技術の発展に伴い、マイクロプロセッサ等でパフォーマンスの 向上のために除算、開平等の専用回路を内蔵するようになってきている。

科学技術計算などでは、3次元方程式を解く際に立方根計算を用いる解法が 知られている。立方根計算が頻繁に発生するシステムを構築する際、プロ セッサ内部に立方根演算のための専用回路を搭載することは有効な試みである と考えられる。そのため、本研究室では立方根計算専用回路のためのハードウェアアル ゴリズムの開発を行ってきた。このアルゴリズムは減算シフト型であり、基数 2のアルゴリズムと基数4のアルゴリズムが提案されていた。

本研究では、従来提案されていた2つのアルゴリズムに改良を加えた新しい基数2と基数4のア ルゴリズムを提案し、実装を行うことにより立方根計算専用回路 の性能を明らかにした。提案するアルゴリズムでは、従来のアルゴリズムに比べ回路のクリティカ ルパスにおける加算の回数が減少し回路のさらなる高速化を実現している。 実装としては、まず、提案する基数2に基づくアルゴリズムを用いて 設計を行った回路の性能を測定した。さらに、内部の演算結果を効率的に記憶 する手法を用いることにより、回路遅延を増加させることなくレジスタ数を削 減し、回路におけるゲート面積の約5%の減少を実現した。基数2に基づ く回路では、シミュレーションの結果約200MHzで動作し、ゲート面積は 約0.47mm^2であった。(ROHM0.35 umプロセス 東大VDEC版 EXD社セルライブラリ使用) また、提案する基数4に基づくアルゴリズムを用いて回路の実装を行い、 基数2に基づく回路を単純に2段重ねたものとの比較を行った。その結果、基数4に基 づく回路の方が面積も小さく高速であることを確認した。


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提出時刻:2001/02/09 15:00:38