近年、漫画が幅広い世代の人々に読まれるようになり、
漫画産業に対するニーズも多様化してきた。
工学分野に加え、文学分野、心理学・医学分野、教育学分野においても
活発に研究がなされている。
このような背景のもと、我々は漫画を計算機に理解させることを考えた。
漫画理解の第一段階として、
本研究では、四コマ漫画のストーリ展開に重要な影響を与える
登場人物に注目しそれらの認識を試みた。
登場人物を認識するために必要な情報は多様であるが、
我々は個別情報を表す最も重要な要素である顔を抽出する。
顔領域は髪の毛領域の下方に存在することから、
まず我々は顔領域抽出の手がかりとして人物の髪の毛領域を抽出する。
髪の毛領域は黒塗り領域であるため、収縮処理と膨張処理を用いて抽出される。
そして、得られた髪の毛領域から黒画素を追跡することで顔領域を計算する。
続いて、得られた顔領域に対し、人物の傾きに応じた回転補正をする。
回転により得られた傾きのない顔画像を用いて人物を識別する。
人物識別処理では、まず髪の毛特徴を用いて人物を分類する。
それらの分類グループに対し、漫画から得られる知識を用いて人物を特定し、
一漫画内に登場する人物が同一か否かを識別する。