本研究では、腫瘤付近を拡大撮影された胸部X線CT像(症例)に対し、その撮影範
囲が全肺野内のどの部位に相当するか
を計算機によって自動的に推定することにより、腫瘤の良悪性判別の支援を行うこと
を目的とする。
本手法の処理手順は、気管支と胸骨の位置による粗推定を行った後、血管の走行方
向の比較により精密推定を行う。粗推
定の結果により探索範囲を限定し、次に血管の走行方向を定量化する。肺野内を小領
域に分割し、各領域内の血管のおおよ
その方向を主成分分析により判別する。全肺野が撮影されている一般的な肺野構造を
持つと考えられるCT像(モデル)に対し
て同様の方法で血管の走行方向を定量化し、症例に対する評価値が最も小さくなる部
位をモデルにおける撮影部位と推定す
る
本手法を実際の3次元胸部X線CT像7例に適用した結果、目視による推定結果と
比較したところ5例において妥当な結果
が得られた。