氏名: 井上浩 (089830172)

論文題目: 桁上げ選択加算器のオンライン誤り検出


論文概要

近年の計算機システムに全面的に依存する社会では、システムの故障は人命、 莫大な経済的損失を招く可能性がある。そのため、システムの高信頼性が求められるようになり、フォールトトレランス(耐故障)技術の重要性が高まってきた。

計算機システムの基本構成要素である算術演算回路も高速かつ高信頼に動作 することが要求されるようになり、様々なフォールトトレランスの研究が進め られている。誤りが発生したとき、システムの障害に至る前にできるだけ早く検出す ることが必要であるため、オンライン誤り検出は最も重要な技術の1つである。 オンライン誤り検出のための様々な誤り検出符号が知られている。 算術演算回路の中で、加算器は最も基本的な ものであり、乗算をはじめとする様々な算術演算回路に用いられる。加算器においては、桁上げ先見加算、桁 上げ選択加算などのアルゴリズムが提案され、高速に演算を行うことが重要視されて いる。

本研究では、誤り検出符号の1つであるパリティ検査符号を用いた桁上げ選択加 算器のオンライン誤り検出方法を提案する。桁上げ選択加算器は加算器を複数のブロッ クに分け、下位ブロックからの桁上げが0,1のときの両方の和を順次桁上げ加算器で予 め演算しておき、下位ブロックからの桁上げによりそのいずれかを選択するものである。 その構造は順次桁上げ加算器を用いるので、極めて簡単であり、演算も高速に行うこと ができる。パリティ符号は、データパスの検査に用いられるという利点があるが、パリ ティ検査符号を用いた加算器のオンライン誤り検出では、一般的に桁上げを二重化する 必要があり、面積増加の一因となる。そこで本手法では、本来演算の高速 化に用いられる2つの順次桁上げ加算器の桁上げを相互に利用することにより、桁上げの 二重化を防ぐ。


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提出時刻:2002/02/08 17:19:39