氏名: 金子伸幸 (089830547)

論文題目: CASEツールプラットフォームにおける宣言的APIの提案


論文概要

本論文では,CASE(Computer Aided Software Engineering) ツールプラットフォームにおいて,プログラムの簡潔な記述を補助す るAPI(Application Program Interface)として宣言的APIを提案する.CASE ツールプラットフォームSapid(Sophisticated APIs for CASE tool Development) では,プログラムの情報をソフトウェアの構造を基にモデル化し,そのモデル に基づいてデータベースに格納する.Sapidではソフトウェアの情報をクラス, クラスとクラスを結びつける関連,クラスに属するオブジェクトで表現する. オブジェクトとオブジェクトの間に存在する関連を順次たどることで オブジェクトを取得するAPIを,手続き的APIとする.

手続き的APIでは,あるオブジェクトと複数の関連によって結びついている オブジェクトを取得する際に関連をたどる手続きを繰り返す.その結果, ソースファイル中に関連をたどる記述による入れ子構造を作るため, プログラムの構造が複雑になる.

宣言的APIは,取得するオブジェクトのクラスを宣言することで,そのクラスに属 するオブジェクトを取得する.そのため,オブジェクトと複数の関連によって結 びついているオブジェクトを取得する際でも,ソースファイル中に関連をたどる 記述を必要としない.その結果,関連をたどる記述による入れ子構造を回避 でき,プログラムをより簡潔に記述できる.

しかし,関連を考慮しないでオブジェクトを取得することは,ソフトウェアの 構造に関する情報を失うことになる.ソフトウェアの構造に関する情報を失 わないために,モデル中の関連をソフトウェアの構造における意味によって分類 し.関連の意味を利用してオブジェクトを取得する.Sapidのモデルの関連を 「構成関係を表す関連」,「型を表すクラスとの関連」,「式を表すクラスとの 参照関連」,「goto文とそのラベルとの関連」のいずれかの種類に分類する. 意味により分類された関連の種類によってオブジェクトを取得することで, ソフトウェアのモデルが保持するプログラムの構造に関する情報を損なわずに, オブジェクトを取得できる.

手続き的APIを利用したプログラムと,同じ動作をする宣言的APIを利用した プログラムを作成し,両者を比較して,その結果により宣言的APIを用ると プログラムが簡潔に記述できることを示した.


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提出時刻:2002/02/08 14:10:49