本研究では,3次元胸部マルチスライスCT像から結節候補領域を自動抽出する手法 を提案する.
近年,CT像は体軸方向の解像度が向上し,より詳細な診断が可能となったが,それ に伴って生成されるスライス枚数が増大し,読影する医師の負担が大きくなってい る.この負担を軽減するために,結節候補領域を自動的に検出することが求められて いる.
従来の結節候補領域自動抽出手法は,抽出対象を直径9〜40mm程度の大きな陰影と しており,直径5mm程度の小結節を抽出対象とした場合には,血管などの拾いすぎ領 域が非常に多くなるという問題がある.この拾いすぎ領域を減らすために, 本手法では,同一領域内の異なる2点間の最大距離という基準によって結節領域とそ の他の拾いすぎ領域を判別する手法を提案する.
本手法を3次元胸部マルチスライスCT像4例(内正常例1例)に適用した結果, 従来の手法と比べて拾いすぎ領域を削減することができ,概ね良好な結果が得られ た.