近年、集積回路技術の発達や通信速度の向上によって、
今まで以上に大規模なデータを扱うことができるようになってきている。
それに伴って、大規模データの圧縮技術の重要性も高まっている。
画像圧縮の規格としてJPEGがある。
JPEGの最新規格であるJPEG2000は画像圧縮にウェーブレット変換を用いている。
ウェーブレット変換の処理は、
処理するデータ量は画像の大きさに比例して増加するが、
計算そのものは簡単な演算で実現できる。
すなわち、処理を並列に行うことができれば、高速化が期待できる。
通常のメモリに簡単な論理機能を付加した機能メモリは、
メモリ内の多数のワードに対して、並列に部分一致検索や部分読み込み、
部分書き込み等を行うことができる。
これらの機能を利用して、ワード並列に四則演算等の演算を行うことができる。
したがって、機能メモリは極めて並列度の高い並列処理機構とみなすことがで
きる。
本研究ではこのことに着目し、画像圧縮におけるウェーブレット変換を、
機能メモリを用いて高速化するアルゴリズムを提案する。
評価の結果、提案アルゴリズムは、
専用のウェーブレット変換器を用いて高速化する他手法と比べて、
1024×768点の画素を処理する場合、
約800分の1の時間で処理できることが分かった。
さらに、処理するデータ量が多ければ多いほど、
提案アルゴリズムの方が有効であることが分かった。