本論文では，細粒度リポジトリから得られる情報をもとにCVSの版管理
を拡張するための差分解析手法を提案する．
さらに，本手法を応用することで版管理を扱う保守CASEツールプラットフォームを構成すること
を目指す．
CVSは，オープンソースソフトウェアにおける版管理ツールとして多く用いられて
いる．
CVSは，テキスト形式で版間の差分情報を保持する．
しかし，保守CASEツールからの利用においてソフトウェア構成情報が不足している
ので，多数の開発者によるソフトウェ
ア開発の場合，保守をするためのコストが増大する．
本研究報告で提案する差分解析手法によって，C言語の関数，データ構造に着目し
て版管理を行い，版管理システムがソフトウェアにおける意味的な差分情報を与え
ることで，保守CASEツールプラットフォームが構成ができる．
さらに，本プラットフォームを利用することで保守におけるコストを減少させるこ
とができる．
本研究では，細粒度リポジトリCASEツールプラットフォームSapidで解析した
ソフトウェアデータベースSDBとCVSのリポ
ジトリから，差分情報を出力するツールを作成することで、
保守CASEツールプラットフォーム構築のための基本的な機能の差分解析
の有用性を示した．