画像から人間の顔や手を認識するためには、前処理として人間の顔や手など
の肌色領域を抽出する必要がある。従来手法の多くは、YUV表色系やHSV表色系
等の色情報に対する単純なしきい値処理により、肌色領域の抽出を行っている。
しかし、照明条件の変化などにより、色情報の分布状況も変化するため、肌色
領域を安定して抽出することは困難である。
そこで本論文では、入力画像の性質によってしきい値を自動的に変更するこ
とで、照明条件に依存せずに肌色領域を抽出する方法を提案する。まず、画像
上における各画素のYUV表色系色情報にクラスタリング手法であるISODATA法を
適用する。ここで、照明条件に対応するために、入力画像中のY,U,V各値の最
大値と最小値の差と各値に対する基準値との比を求めて、ISODATA法のクラス
タ分割しきい値とクラスタ併合しきい値を変える。ここの基準値とはYUV空間
で対照となる2色を撮影した参考画像におけるY,U,V各値の最大値と最小値の
差の値である。その後、類似した色情報から成り立つ複数のクラスタをクラス
タ間の距離と角度をもとに併合する。その結果、照明条件に依存しない肌色成
分を含むクラスタが得られる。
様々な照明条件のもとで撮影した手の画像に対し、本手法を適用した結果、
手領域を表すクラスタリングが行われていることを確認した。