氏名: 伊藤司 (280034040)

論文題目: 階層型依存グラフを用いた粒度可変スライシング


論文概要

本論文では,様々な粒度でのプログラムスライシングが可能な手法である粒度可変スライシ ングを提案する. プログラムスライシングとは,プログラム内の任意の文の 着目する変数に影響を与える一部のコードだけをもとのプログラムから抽出する ことである.プログラムスライシングはデバッグ,テスト,再利用,理解支援, リファクタリングなどのソフトウェア開発・保守 に利用される有用な手法である. これまでの多くのプログラムスライシングは, ステートメント粒度としているため,利用目的による依存関係の多様性に対応出来ていない. プログラムスライシングを依存関係の多様性に適合させるためには,ステートメント粒度だけでなく,細粒度の式粒度や粗粒度のメソッド・クラス粒度によるス ライシングが必要となる.

粒度可変性を実現するために,Javaのソースプログラムを5つの階層(パッケージ,クラス, メンバ,ステートメント,式)とした階層型依存グラフを構 築する.階層型依存グラフは,階層ごとに各実体に対する依存関係を表し た 有向 グラフであり,階層内 および階層をまたがる粒 度の変換,それに伴う依存関係の変換が可能である.粒度可変スライシング は階層型依存グラフに対して粒度変換を行い,様々な粒度のスライスを抽出する操作として実現される.さらに,スライス 基準からの距離により粒度の変換をすることで,大規模プログラ ムの効率良い解析を可能とする.粒度可変スライシングツールを試作し, ソフトウェア開発・保守に利用することで粒度可変スライシングの有用性を検証した.


目次に戻る


提出時刻:2002/02/08 13:53:20