氏名: 儘田佳幸 (280034288)

論文題目: モデル検査オートマトンからの証明生成のモジュラー性に関する研究


論文概要

モデル検査はソフトウェアシステムやハードウェアシステムの時相論理的な性 質を検証する技術であり,オートマトンを用いる手法,タブロー法などがある. オートマトンを用いる方法では,システムをオートマトンとして捉え,性質も オートマトンで表現し,それらの受理言語の共通集合が空であるか否かを判定 する.オートマトンを用いる方法は,モデル検査がオートマトンの 受理言語の空問題に帰着できるなど,オートマトン理論の成果を活用できると いう点では優れているが,システムが性質を満たすと きの検査結果は「Yes」という最低限の情報だけである. 検査結果が「No」のときはシステムが性質を満たさないという反例を返す. このことから,システムが性質を満たすという結論が 得られたとき,その証明を提示する方法が提案されている.生成された証明を 調べることにより,システムが性質を満たすことを直観的に理解でき,また, 証明は実際のシステムのオートマトンとしてのモデル化の妥当性を判断する際 の情報を提供する.一方,複雑なシステムの設計には,部分的な設計を組み合 わせて全体を設計するというモジュラーな設計手法が有効である.したがって, システムが部分の合成で設計されている場合のモジュラーな証明生成の方法を 開発することは有用である.モジュラーなシステム設計は並行合成などのシス テムの合成演算に基づいて行われる.本研究では,並行合成の特別な場合の 合成演算を定義し,証明生成の鍵となるオートマトンの極大強連結成分 を求めるアルゴリズムのモジュラー化を行う.得られたモジュラーなアルゴリ ズムは,合成後のシステムに対して証明生成を行うアルゴリズムに比べて 極大強連結成分を記憶するスタックが小さくてすむという 点で優れていることを示す.


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提出時刻:2002/02/06 21:09:05