本論文ではX線CT像の可視化手法の一つであるCurved Planar Reformation (CPR)を用いた管状臓器観察法について述べる。
3次元X線CT像の可視化手法の一つにMulti Planar Reformation (MPR)がある。 MPRでは、CT像を任意の平面で切断した画像を観察することが可能である。 しかし、血管や尿道のような管状の臓器においては、一平面上に観察対象の 臓器が含まれない場合、MPRによって一度に観察することは出来ない。 CPRならばこのような臓器を含む曲面で切断した断面画像を生成し、 複雑な形状の臓器を一度に観察することが可能である。 本研究では、このCPRを用いた管状臓器観察において以下のような手法を開発 した。
CPRでは、3次元空間上で曲面を定義し、その曲面を2次元平面に展開して画像 を生成するため実際の臓器と比べて歪みが生じる。このことは、臓器と周辺組織 の形状や位置関係を観察する際にはあまり好ましくない（図左）。 このような歪みを軽減するためにCPRを3次元空間上から2次元平面に投影する 表示を行なった。その結果、歪みの少ない画像（図右）を得ることが可能であ ることを確認した。
また、CPRでは、画像の生成のためには手作業で臓器をトレースする必要があ る。これは、臓器が複雑である場合非常に手間がかかる作業となる。 このため、臓器上の2点を指定する事で臓器の中心を通るパスを生成する手法 を開発し、容易に臓器の指定が可能であることを確認した。