平成14年度 情報工学コース卒業研究報告要旨


法令文書構造の自動抽出とその利用に関する研究

稲垣研究室
近藤洋二郎

現在、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)の施行、e-Japan戦略の策定に伴い、電子政府実現のために行政手続きや公文書の電子化が行われている。

政府や地方自治体における法令の起草、管理、運用などを行う法制執務の分野においても、法令文書の電子化や、法令の改正文作成、旧法令の管理に対する計算機支援が必要だと考えられる。

現在、法令の運用のために、法令文書の電子化や法令データベースの作成が政府によって行われている。しかし、それらの文書やデータベースには、十分な検索機能がない、文書形式の統一に欠ける、旧法令を参照できない、法令の更新が遅いなどの問題がある。

そこで、本研究では法制執務支援システムの構築を目的として、そのためにまず法令文書の論理的構造を定義した。それを用いることにより法令の検索や意味解析等の計算機での処理が容易になると考えられる。

法令文書の書き方や文書構造に関する明文化規定は存在せず、法令文書の書式は慣例に従っている。そこで、実際の法令文書を分析し、その文書構造を定義した。

法令の構造化にはXMLを用い、その構造はDTDにより定義した。また、既存の法令データベースに含まれている法律文書に対してXMLタグを自動的に付与し、XML文書化を行うプログラムを作成した。約50件の法律のXML文書化を行い、定義した法令DTDの適切さを検証した。

また、XML文書化した法令の利用例として、法律を官報と同様に表示するシステムを作成した。


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