氏名: 松村直治(089931599)

論文題目: 移植容易なソフトウェア開発のための代数的仕様記述法の提案


論文概要

ソフトウェア評価基準として移植性がある.多くのOSに対応する移植容易なソフトウェアを開発すればソフトウェア評価の向上につながる. しかしプログラムが利用するライブラリなどの環境はOSごとに異なるため,移植に際してOS間の環境の違いが問題となる.プログラムの移植性を高める方法としてAutoconfが利用されている.Autoconfはライブラリ関数やヘッダファイルの有無などの環境の違いを調べることができる.しかしAutoconfは欠けているライブラリ関数やヘッダファイルを補わないため,ソフトウェア開発者が記述する必要がある.Autoconfを利用するために,環境の違いに関する知識が必要である.そこで,ソフトウェア開発者が環境の違いを意識することなく,移植容易なソフトウェアを開発できる枠組が必要である.
プログラムは環境に依存する部分と環境に依存しない部分とに分けることができる.異なるOS間で変更することなく利用できる部分は環境に依存しない部分である.OSごとに変更を要する部分は環境に依存する部分である.環境に依存する部分は例えばライブラリ関数の相違がある.移植性を高める方法として,定義されていないライブラリ関数に対して代替関数を用意する方法がある.
 本研究では移植容易なソフトウェア開発のための代数的仕様の枠組を提案した.まず,代数的仕様を環境に依存する部分と環境に依存しない部分を分けて記述する.環境に依存する部分では,各OSごとの環境の違いや定義されていないライブラリ関数に対する代替関数を記述する.本研究の枠組は環境の違いを意識することなく移植容易なソフトウェアを開発するための仕様記述法を提供し,ソフトウェア開発者は複数のOSで動作するソフトウェアを容易に開発することができる.