氏名:戸板 晃一 (280134193)

論文題目:プログラムスライシングツールのための共通表現


論文概要

本論文では,プログラムスライシングツールのための共通表現を提案する. プログラムスライシングとは,プログラム内の任意の文の 着目する変数に影響を与える一部のコードのみを, もとのプログラムから抽出する技術である. プログラムスライシングはデバッグ,テスト, 再利用,理解支援,リファクタリングなどのソフトウェア開発・保守 に利用される有用な手法である.

過去に提案・実装された手続き型言語のスライシングツールの多くは, 特定のプログラミング言語に依存している. しかし,手続き型言語におけるスライシングは, プログラミング言語に依存しないグラフ上の抽象的な操作である. そのため,スライシングの操作は言語独立に行うことができる.

スライシングの操作をプログラミング言語から独立させるために, 現行の手続き型言語の共通する算術文,選択文,反復文などの命令を 抽象化した共通表現を提案する. さらに,この共通表現を用いて,スライシングを行う プログラムスライシング・フレームワークを提案し,実装した. スライシングツール作成者は, プログラムスライシング・フレームワークを用いることで, ソースプログラムから提案する共通表現に変換するツールを作成すればよい.

プログラムスライシング・フレームワークの評価を行うため, プログラムスライシング・フレームワークを用いた スライシングツールを作成した. スライシングツールの作成にかかる労力が少なく, 一定水準以上のスライシングツールができることを示した.