氏名: 三浦直人 (280134304)

論文題目: 多相ピラミッド形状情報モデルにおける周辺略図に関する研究


論文概要

近年,デフォルメ化された地図が広告,駅前の案内図,携帯への情報提供などの様々な場所で活用されている.地図のデフォルメ化は,視認性の向上,データ量の軽減,解像度の低い装置への表示を可能にするなどの点で有用な手法である.しかし,これらの多くは手作業で作成されたものであり,詳細地図からの自動簡略化手法はいまだ確立されていない.

地図のデフォルメ化は単純化,近似化,省略化などの処理をおこなうことで実現する.処理の主な流れは,まず詳細地図からユーザーにとって必要となる地図要素を残し,それ以外の地図オブジェクトを省略する.次に,地図の変形(交差点における直交化、道路の伸縮など)をおこなう.これによりデフォルメ化が完了する. 以上のデフォルメ化において,自動的な地図の変形については様々な研究がおこなわれている,しかし,地図の省略については,表示する地図オブジェクトの選択が作成者依存であり,目的に沿った地図の自動生成を困難にしている.

そこで,本論文では地図要素の重要度と,対象となる移動手段の2つの要素に注目し,自動的な地図の省略手法を提案する.重要度は,多相ピラミッド形状情報モデルとよばれる地図情報システムを用い,オブジェクトを管理する層のレベルに応じて決定した.また,移動手段は徒歩,車,公共交通機関の3種類を対象とした.上記の2つの要素に加えて,地図の中心となるオブジェクトと,表示対象になりうるオブジェクトとの間の距離を含めた3つの要素から,表示するオブジェクトを決定した. このような手法によって省略化された地図の妥当性を評価し考察を加えた.