本論文では、FFTによる関数の自動級数展開に関する理論と算法について 述べる。関数の自動級数展開とは、関数とその要求精度ε>0に対し、べき 級数の項数N(ε)とN(ε)個の展開係数を求めることである。 複素数値周期関数をFFTを用いてべき級数に展開すると、項数は、 1,2,4,8,16,32,64,‥‥と2のべきで増加するが、要求精度に対して項数が 過大となりやすい。 そこで、この関数入力のFFTの高速性、安定性をほぼ保ちつつ√2倍的に 項数を増加させる方法を用いた。この√2倍的というのは幾何平均的な 意味であって、一例を示すなら、1,2,3,4,6,8,12,16,24,32,‥‥である。 これによって、使用する標本数が節約できる。 さらに、同じ原理に基づいて、実数値周期関数についても自動級数展開 のプログラムを作成した。
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