ボケ画像から原画像を復元するとき，劣化過程を表した点拡がり関数(PSF)が予め分かっている場合には，直接逆たたみ込みを行うことによって，復元が可能になる．しかし，実際には，PSFが分かっていないことの方が多く，この場合には何らかの方法でPSFを推定する必要がある．
本論文では，目的のボケ画像とは別のシーンについて，ピントの合った画像と，意図的にピントをぼかした画像を取得し，これらの2枚の画像からPSFを推定して目的のボケ画像を修復するために適用する．
実際に撮影された画像にはいくらかのノイズが含まれているので，別のシーンを撮影した2枚の画像を周波数領域で単純に除算しただけでは，ノイズの影響を大きく受けてしまい，有用なPSFを得ることができない．そこで，ノイズの影響を抑えながらより理想的なPSFを求めるためのいくつかの手法を実装し，検討した．