従来、行列の固有値計算に対しては、ＱＲ法が数値的安定 性の面でも、計算コストの面でもよいとされてきた。しかし DemmelとVeselicは、正定値行列の固有値が従来信じられて いたよりはるかに高精度で計算できるという理論的可能性と、 そのような高精度を達成するにはＱＲ法が不十分であること を示した。さらに、理論的限界に近い精度を達成できる方法 として、改良された停止測をもつヤコビ法を提案した。また １９９４年にMathiasは、One-sided ヤコビ法によ りさらに高精度な解法が得られることを示した。また、ＱＲ 法を併用することによるヤコビ法の高速化についてもいくつ かの提案を行った。
本研究ではMathiasの提案に沿って、いくつかの アルゴリズムを実装、比較し、高速で高精度な解法をめざす。