氏名: 杉本 繁基 (089530870)

論文題目: 人体の3次元像と2次元投影像の関係の解析 —肺がん陰影のSN比に着目した場合—


論文概要

 本研究では、人体の3次元胸部CT像とそれから作成した2次元投影像を用い、それぞれの画像上で肺がん陰影の見え方がどの様に異なるかを定量的に評価した。
 具体的には、計算機による肺がん陰影の検出しやすさを陰影のSN比を用いて定量化し、3次元と2次元の画像間で比較した。また、投影する臓器影の組合せを仮想的に変化させ、各臓器影のSN比に対する影響を評価した。さらに、このSN比を理論的に計算する方法を示し、それを用いて様々な状況でのシミュレーションを行った。その他、医師による肺がん陰影の検出の難度を評価する目的で、実際の読影の場でがん陰影の検出の障害となる事例を考慮し、SN比の補正を試みた。
 その結果、2次元像上の肺がん陰影のSN比は3次元像のそれと比べてかなり劣ること、また、肺野以外の組織を取り除いて投影しても、全体を投影した場合と比較してSN比はそれほど変わらないことが知られ、今後の診断支援システムの開発のための基礎資料を提供した。
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