プログラムの等価性判定の研究は、プログラム検証や等価変換において さまざまな応用ができる。このような議論には項書き換え系(TRS)の ような形式的な言語が用いられることが多い。TRSは方向づけられた 等式の有限集合で、その等式にしたがって与えられた項を書き換えてい くことがTRSにおける計算である。 このTRSの等価性判定の自動化について、 1.2つのTRSが等価であることを構造帰納法や被覆集合帰納法 などの帰納法で証明するための命題の自動生成 2.生成された命題の自動証明 などの研究が動的項書き換え計算(DTRC)やメタ項書き換え計算(MRC) というTRSを拡張した計算モデルなどを用いて行われている。 MRCは、DTRCの構文の制約を少なくしてより単純にすることでそ の表現能力を改善したもので、 ・TRSの組み合わせの記述 ・TRSの自動検証やルールの書き換えなどのTRSの処理の記述 ・TRSの処理を扱う処理プログラム自体の自動検証 などの実現を目的とした計算モデルである。 本研究では、上記1,2をMRCで実現すること、つまり、帰納法で証明 するときの基底段階や帰納段階を表すメタ項生成アルゴリズム自体をMR Cで記述し、さらにそのメタ項で表現される命題の証明もMRCで自動的 に行うことをめざし、その第一段階として、2つのTRSから被覆集合帰 納法で用いる被覆集合を自動生成するプログラムをMRCで記述する。