現在、当研究室では胸部Ｘ線像からの肺がんの検出を支援するシステムの開発 を進めている。このシステムでは、まず画像中に含まれる塊状の陰影を強調、 しきい値処理を施すことにより異常陰影の候補領域（Suspicious Region.以下 、SRと略す）を抽出する。次にこの 抽出された各SR に対してさまざまな特徴 量を測定する。さらに、測定した特徴量を並べた多次元特徴量ベクトルが「拾 いすぎ」（＝肺がん陰影に対応しないSRの集合）と「異常」（＝肺がん陰影に 対応するSRの集合）の各クラスにおいて多次元正規分布に従うと仮定し、そ れぞれの密度関数を推定し、尤度比（２つの確率密度関数の比）を求める。最 後に、この尤度比に対するしきい値処理を行い、異常と判定されたSRのみを原 画像上にマークして出力する。 本研究では、各SRに対して特徴量を計測するための、計測手順を決定する処理パラ メータの最適化を行って、「拾いすぎ」のクラスに属するSRの削除を試みた。 また、本研究ではGUI（Graphical User Interface）をベースにして処理パラメ ータの変更などを直感的に行えるユーザインターフェイスも開発したのでそれに ついても述べる。