サッカー中継の臨場感を高めるために、プレイ中の選手などの通常では不可能な視
点から場面を再現する研究が行われている。これまでに、テレビ画像から選手とボー
ルの位置を抽出し、その時間的な変化から選手の動作を推定して、CGアニメーション
で再現することが可能となっている。しかし従来の研究では、ドリブル、キック、ヘ
ディングといったボールを持つ選手の動きを中心に再現されていたため、他の選手の
動きは‘歩く’、‘走る’、‘立ち止まる’だけのきわめて単調なものであった。そ
こで本研究では、ボールを持たない選手の動き、つまりディフェンス、マークなどの
守備的な動作に注目して推定を行い、より忠実にシーンを再現する。
これまでの研究ではボールと選手の位置・動きだけから動作を推定できたが,ボール
を持たない選手の動作を推定するには,ボールと該当選手に加えてボールを持つ選手
や周囲の選手の位置・動きも考慮しなければならない.また,攻撃側と守備側で動作
に違いが生じる.このため,問題はずっと複雑になる.本研究では,これら多数の要
件を考慮して動作を推定するアルゴリズムを開発する.さらに,これまではゴールキ
ーパーが他の選手と区別されていなかったので,パンチングやキャッチングなどの
キーパー固有の動作を推定する方法も提案する。
実験により、ゴール前のシーンを適切に再現できることを示す。