正常なリンパ節はＣＴ像上では他領域とのコントラストが非常に低いためリン パ節の自動検出は困難である。一方、縦隔部のリンパ節の存在位置はほぼ決まっ ており、気管支の付近に存在する。そこで、本研究ではリンパ節が多く存在する 縦隔部のみを対象とし、従来の研究で抽出された気管支構造を基にリンパ節の存 在位置モデルを作成し、リンパ節の存在位置を医師に提示するシステムの開発を 行なう。 本研究の処理手順は、「リンパ節モデルの作成」および、「入力ＣＴ像とリン パ節モデルのマッチング」から成る。まず、リンパ節モデルは胸部ＣＴ像一例を 基に作成する。具体的には、もっとも近い気管支の分岐位置からの相対位置とし て各リンパ節の存在位置を手入力で入力して作成する。次に、すでに解析されて いる入力ＣＴ像の分岐位置からそれぞれ対応したリンパ節の位置を推定する。最 後に、推定された各リンパ節の位置を対応するスライス上に表示する。 本システムを実際の３次元胸部Ｘ線ＣＴ像に適用した結果、おおむね良好にリ ンパ節の位置を提示できることを確認した。