数値計算において行列の特異値を求めることは重要な課題である。特異値を求めるアルゴ リズムとしてヤコビ回転を用いた方法がある。このアルゴリズムは停止則を改良すること によって高精度で特異値を与えてくれることが、最近わかってきた。しかし、ハウスホル ダーＱＲ法などに比べて計算コストが高い。そこで本研究では、ヤコビアルゴリズムの速 度を向上させることを試行する。 手法としては、まず前処理としてＱＲ分解を行う。そして生成された上三角行列Ｒにヤコ ビアルゴリズムを適用する。その際、Ｒの上三角性を利用して、準循環オーダリングを用 いて収束性の向上を図る。また、計算コストの高い乗算を避けるためにスケーリングを用 いて回転行列を変換するfastrotationでヤコビ回転を行なう。本論文では、これらの手法 によるＳＶＤ計算を行い、それを評価する。