氏名: 安藤 真也 (089630050)

論文題目: 固有空間法による警告音の識別


論文概要

本研究では、聴覚障害者のために環境音の中から警告音を識別して知らせるシステムの研究開発を行なった。 この研究は従来にも、多変量解析の手法を用いることにより行なわれたきた (柘植1999.3)。しかし従来の方法では、1時点での音のみで識別を行なっていたため、雑音に対するロバスト性や、識別すべき音以外の音の誤識別率、又識別し得る音源の数に限界があった。そこで本研究では、固有空間法を用いて、音源の時間的特徴の変化を利用し、多時点で入力音を識別することにした。 まず、サンプル音源を256点の短時間FFTで時間周波数空間にしたものより、3次の固有空間を作成した。その固有空間に各サンプル音を投影することにより、129次元の情報を3次元に変換し情報量を減らし、各音源それぞれ時間毎に変化する多様体を作成した。 入力音の識別では、入力音を同様に256点の短時間FFTし、それの一定時間間隔での情報を固有空間に投影し、その固有空間上での点と各サンプル音の多様体の距離を計算し、現時点において入力された音の情報で、入力音が何の音である可能性があるかを調べた。そして音が入力されてから、現時点までの多時点の情報により、入力音を識別するようにした。 本システムでは、全部で5種類(車のクラクション、踏み切り、非常ベル、電車の警笛、サイレン)の警告音を識別の対象とし、CDと実音からの音源で固有空間を作成し、識別実験を行なった。


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