氏名: 鍛治 征毅 (089630610)

論文題目: 項書換え系変換のMRCによる実現に関する研究


論文概要

本研究の目的は、項書換え系の変換アルゴリズムをMRCにより記述し、 MRCをTRSのメタ計算に応用する際の長所、短所を洗い出し、評価することであ る。 具体的に記述するのは、 文脈依存TRSの停止性を証明する技法で使われるTRS変換アルゴリズムである。

文脈依存TRSとは、 すべての関数の引数の位置についてリダクションが 許されるかどうかを指定し、その許されない位置において 書換えを制限することで書換え過程を制御できるTRSである。 文脈依存TRSは、それを停止性に関しては同値な従来の項書換え系に変換し、 変換後のTRSの停止性を証明することで停止性を示す方法が知られている。

文脈依存TRSを通常のTRSへ変換するアルゴリズムで中心的な役割を 果たすのは、写像Φ、Bar、τである。Φは項が与えられたとき、書換えが 許されない部分項の先頭の関数記号に印をつける。Barは文脈依存TRSの 関数記号の集合が与えられたとき、次のようなTRSを構成する。そのTRSは 印のない関数記号がいつでも印のある関数記号に変われるようにし、かつ、 特別な関数記号aが印を消去する働きをするように定義する。 τは規則の右辺にある変数xが、左辺で書換えが許可されない部分項に 含まれる変数の集合の中にある場合、a(x)を代入をする。 このような写像をMRCで記述し、 文脈依存TRSをTRSへ変換するアルゴリズムを実現した。 この実現において、Φ、Bar、τのような関数記号、項、規則を 扱う写像をMRCで記述することは比較的容易である。 しかし、これらの写像の適用順序を制御するには工夫が必要である。 すなわち、処理の状況を表すデータを常に保持するようなデータ構造を用意し、 それによって処理の手順を制御するようにした。


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