我々は、既知情報を正確にしかもわかりやすく伝える効果的な情報伝達手段としてス ライドを使ったプレゼンテーションに着目し、そのためのスライドの作成を支援する システムについて研究中である。対象を科学技術論文とし、論文の一部をスライド部 品として捉えることでシステムはスライド作成を支援する。スライド作成過程におい てレイアウトに関する部分は、スライドの利点である視覚的な特徴をいかすために重 要である。本論文では、システムによって形成されるスライドの各構成要素のレイア ウトを決定する手法を提案する。レイアウトはある程度ユーザに依存するという考え から、ユーザが過去に作成したスライドのレイアウト情報を事例ベースとし、事例 ベースを入力によって類似検索することで入力された構成要素のレイアウトを決定す るという手順でスライド構成を図る。物理的制約を満たす事例のうち、入力との構成 要素間ベクトル（構成要素の役割や構成要素間の関連を数値化し、ベクトル表現した もの）の方向の近さで類似度を求め、類似度の評価の高い事例から候補とすることで 類似検索を実現する。また、ユーザの満足する事例がなかった場合、その入力を事例 として登録する。