本論文では、3次元腹部X線CT像から胃壁ひだのスケッチを3次元空間で作成するための予備的検討を行なう。
現在、胃がん診断で重要な情報となる、胃壁ひだ領域を3次元CT像から自動抽出する手法が提案されているが、胃壁ひだを一連の線として抽出、あるいは胃壁ひだの太さなどを表現する方法は現在のところ報告されていない。抽出された胃壁ひだをスケッチ(線画)にできれば、胃壁ひだ情報をカルテに保存したり、胃がんの症例検索への応用が可能となる。
そこで、本研究では、胃壁ひだのスケッチ作成のための第一段階として、胃壁ひだを線として抽出する方法を提案する。まず腹部X線CT像からしきい値処理により胃領域を得る。得られた胃領域の胃壁付近の各点について3次元曲率を計算し、しきい値処理により胃壁ひだ領域を抽出する。さらに、この領域を細線化することで、胃壁ひだを線として抽出する。本手法を腹部X線CT像に適用した結果、本手法の有効性が確認された。