氏名: 丸吉 政博 (089631765)

論文題目: 混合信号からの元信号分離の高速化 〜残響時間測定と処理プログラムの並列化〜


論文概要

本研究は長時間かかる混合信号からの元信号の分離処理の高速化を目的として いる。ここでは特に、観測信号の相互相関値が零になるときのみ、最小値(零) をとる非負関数を最小化することによって分離を実現するブラインド信号分離 を対象とする。ブラインド信号分離とは、複数の信号源があり、それらの混合 信号を複数のマイクで観測できる時、信号源とマイクとの間の伝達関数が未知 なものとして、観測信号のみを用い、元の信号を分離、出力する信号処理技術 である。 実環境で信号分離を行なうには、信号源からマイクへと直接到達する信号に対 する、壁や床などを反射してマイクへと到達する信号の到達遅延時間を考慮す る必要がある。その到達遅延時間であるTap長は残響時間によって決まる。Tap 長が長過ぎれば演算量が必要以上に増えてしまうし、短過ぎれば分離が正確に 行なわれない。そのために、まず処理の中でどれだけのTap長を考慮すればよ いのかを、実際に残響時間を測定して求めた。これにより高速化に際し、デー タ量と演算量を必要最小限に抑えることができた。また、ディジタル信号を高 速に処理することのできる演算装置であるDSP(Digital Signal Processor)を 4つ並列化し、それぞれのDSPに同一の手続きを必要とする入力値群を同時に 処理させ実行時間を短縮するために、プログラムを並列化した。またこれによ り、どれだけ高速化が実現されるかを実験で計測した。結果については発表当 日に説明する。


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