本報告では、高精度X線CTによる仮想プローブの開発とその診断目的への応
用について述べる。
近年のX線CT装置の進展により、xyz各軸方向において等解像度の3次元CT画像を得る
ことが可能となった。そこでこの高精細CT像を用いた新しい画像観察法が望まれてい
る。本研究では、画像の持つ等方位性解像度を利用し、超音波診断装置と同様に操作
者が仮想的なプローブ(仮想X線プローブと呼ぶ)を持ち、あたかも患者にプローブを
あてるような感覚で自由な断面の観察を行なう手法の提案を行なう。超音波診断装置
では、画像S/Nが低い、観察範囲が限られるといった問題があるため、本手法を組み
合わせることで、それらの問題を補い、より効果的な画像診断を行なうことが可能と
なる。本手法では、操作者が持つ仮想X線プローブから、そのプローブ位置、方向
(方位角、仰角、回転角)を取得する。この位置、方向を基に、任意断面を構成し、表
示する。これらの処理はすべてリアルタイムに行なわれ、ユーザがセンサを動かすと
それに応じた断面の画像が生成される。
本手法を、計算機上に実現し、実験を行なった結果、直感的に断面の指定を行なう
ことができ、また、それを観察することができた。