氏名: 高田 修 (d06726)

論文題目: 設計・生産分野における知識処理システム構築に関する研究


論文概要

設計・生産分野において,市場の製品関するニーズの多様化に伴い, 期間短縮,質の向上が望まれている. このような要求に応えるために,CE (Concurrent Engineering), SE (Simultaneous Engineering)などを目指し た体制が必要となっている.

本論文では,このような状況下において,様々なデータやノウハウを利用した 設計・生産分野で必要とされる知識処理システムの要素技術を提案し,実際の アプリケーションに適用し,その有効性を示す.

特に,対象の表現,処理の流れ,知識表現,推論,探索とい う観点から,設計・生産に関する知識処理システムの構築方法および適用結果 について述べる. 具体的な論文の構成は以下の通りである.

「生産スケジューリング」では,自動車の製造ラインのように多品種の 製品を混合して生産するスケジューリングを対象とする. まず,複数の生産要求からラインの状況などの制約条件を考慮してその時点で 最適の生産指示を選択する投入順序決定のためのドメインシェル SELES (SELEction tool for production instruction Scheduling)を提案する. さらに,このドメインシェルを実際のバンパー塗装ラインに適用した結果につ いて述べる.

「工程設計」では,鍛造加工に関する一連の設計作業の自動化を 目的とした鍛造工程設計支援システムFOREST (FORging Expert SysTem) を提案する.FORESTは,軸対称中実中空製品を対象に,冷間鍛造における鍛造 体設計および工程案生成システムである. また,これらの二つの設計過程を有機的に結合させ,より質の高い設計が可能 となったことを示す.

「解析支援」では,鍛造変形解析において重要なタスクであるメッシュ 生成を対象とする. まず,専門家のメッシュ生成過程のモデル化,その実現手法である推論方式, 探索手法を提案し,2次元メッシュ生成システム(GENMAI: Artificial Intelligence Mesh GENerator)を開発する. システムの評価のために,「自動車エンジンの吸気流解析」と「鍛造変形解析」 の問題に適用し,メッシュ生成システムの有用性を確認する. さらに,GENMAIと塑性変形ソルバーを統合して,鍛造変形解析用シミュレー ションシステムを開発し,実際の鍛造変形解析に適用し,鍛造変形解析システ ムとしての有用性について評価する.

「設計支援の要素技術」では,機能部品の設計に必要とされる設計パラ メータ決定支援を対象とする. ここでは,設計パラメータの決定において,組合せ問題として得られた パラメータの値により設計対象の挙動を検証する. これを, 実際のAT (Automatic Transmission)の制御ロジック検証問題に適用し, システムの有用性を評価する.


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