氏名: 荒川 守人 (m05751)

論文題目: 胃X線二重造影像における図形輪郭抽出に関する研究


論文概要

本論文は,胃X線二重造影像における胃部領域,バリウム領域,体側の空気領域といった図形輪郭抽出法の1手順について提案するものである.特に胃部領域は形が非常に複雑で,脊椎,胃内部のひだなどの胃輪郭線に似た陰影の影響で認識が難しい.今回提案する手順は,胃内部のパターンの影響を受けにくい手順で胃部粗領域を抽出し,その領域を初期値として胃部領域の整形を行うものである. まず,原画像に対し回転型一階差分フィルタを施し,胃輪郭線部分を強調する.これを差分画像と呼ぶ.差分画像において画面端から内側の方向へある条件を満たすまで外部領域として削る.そして適当な面積しきい値で小成分除去を行う. 得られた粗領域の輪郭線上に制御点を配置し,ある規則にしたがって移動させることによって,より正確な胃部領域の抽出を試みる.胃輪郭線は連続でかつ差分画像の出力が高いという特徴から,制御点の移動規則として,注目点とその両隣点とを結ぶ線分のなす角が小さく,差分画像の濃度値出力が高くなるように設定し,全ての制御点の移動がなくなるまで並列に繰り返される. 今回提案した手法によって,なめらかな部分については正確な輪郭線を抽出可能となった.しかしながら,輪郭線の曲率が高い部分については抽出が困難であることが確認された.
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