氏名: 石黒照敏 (m05752)

論文題目: μ-設計理論を用いたスカラ型ロボットの防振制御


論文概要

産業用ロボットの多くは、片持ち構造のために、剛性が低くなっているため、 高速動作時のアーム先端の軌跡精度の悪化や停止時の残留振動発生などの作業 能率の悪化を招くような問題を抱えている。そして、この問題点の解決が、近 年の制御におけるロボットの研究課題の一つとなっている。ロボットの軌跡追 従・防振制御では、制御対象のモデリングおよび制御性能の評価が重要である。 しかし実在する制御対象の数式モデルを構築する際には、種々の仮定や簡単化 が伴うため、このモデル化誤差を許容しつつ、性能や安定性を満足するような 設計法が望まれる。この点に着目して近年ロバスト制御に対する研究が盛んに 行なわれている。本研究では、スカラ型ロボットを対象として不確定性を含む システムに対する制御系設計の有効な手法の一つであるμ-設計理論を用いて 防振制御を行なった。また、制御対象が非線形であるため、今回の設計では非 線形補償を行ない、モデルを線形にした上でμ-設計を行なった。シミュレー ション及び実機試験において、μ-設計はPD制御と比べてオーバーシュートは 大きくなるが、振動の減衰が早く、制振性能に優れていることが分かり、μ- 設計の有効性が確かめられた。


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