氏名: 武藤貴志 (m05780)

論文題目: 時間拘束条件付きHインフィニティ制御問題の解法


論文概要

あるプラントに対し、閉ループ系を安定化し、かつ外乱、モデル化誤差等の要素が出力に与える影響を出来るかぎり最小化するようなコントローラーを設計することが、純粋なHインフィニティ制御問題である。 しかし、この場合プラントに望まれる仕様は、周波数領域のものだけに限定され、出力に対しオーバー(アンダー)シュートがないことや、整定時間がある値以下であると言った時間領域での仕様は全く考慮されていない。 そこで、これらの仕様を時間領域での拘束条件であると考え、時間領域、周波数領域での拘束条件を同時に満足するコントローラーを設計することが本研究の目的である。 時間拘束条件付きHインフィニティ制御問題は、これまでにも何例かの研究が行なわれている。wからzまでの伝達関数を(s,f(s))の関数で定義し、時間拘束条件からfがある集合内に含まれるときに、これをを最小化するfをNewton法を用いて近似解として求めたHeltonらの手法、Youlaパラメトリゼーションを行ない、時間拘束条件をYoula表現の自由パラメーターQに対する拘束条件と見直し、1ーブロック問題に帰結させて解を得たHectorらの手法などがそうである。 本研究においてもHectorらと同様、時間拘束条件はQを用いて表す。しかる後に拘束パラメーターを含んだ一般化プラントを定義し、新しいHインフィニティ問題を定式化する。このHインフィニティ制御問題の可解条件は、対称行列R,S、自由パラメーターQに関する線形行列不等式(LMI)の可解性に帰結できることを明らかにする。さらにこの結果から、新しく定式化された問題は、Qに関する凸最小化問題となることを示す。
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