氏名: 杜 虹 (m05787)
論文題目: 胸部X線写真からの肺気腫の進行度の定量評価
論文概要
肺気腫は,病勢の進行にともない胸部X線像上の血管影の太さが細くなることが知
られている.本研究では,計算機により末梢の血管影の太さの変化を自動計測し,肺
気腫の病勢の進行度を定量的に評価することを目標としている.具体的には,まず,
肋間に設定したROI内で空間フィルタによる強調を行い,しきい値処理により血管影
を抽出する.その後,孤立点や枝の除去などを行い,血管影の太さを推定する.最後
に正常例と肺気腫の症例について,同じ位置にあるROI内の血管影の太さの推定値の
分布間に差があるかどうかを仮説検定により評価した.また,血管影の太さの推定精
度についてシミュレーションによる評価を行い,血管影の推定値がある値以上であれ
ば真の太さとの間にほぼ単調な関係があることが知られた.本手法を直接撮影胸部X
線像3枚に適用した.血管影抽出結果に対して医師による評価を行ったところ,94%の
ROIで抽出はほぼ成功した.また,同じ仮説を医師が目視により評価したものと比較
したところ,約5割のROIについて両者の評価が一致した.一致しないものの主な原因
としては,血管影の抽出の失敗(一部失敗を含む)が挙げられる.従って,今後は血
管影抽出方法の改善や,その太さの精密な測定手順,およびROIの自動入力手順の開
発などを予定している.
Toriwaki Lab,Dept. of Information Engg,
Nagoya University, Nagoya, Japan
H,Du
Tel. 81-52-781-5111 (ext.)3310
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