氏名: 大沼宏行 (m953409)

論文題目: LISP教授システムにおける誤り指導のための教材モデルに関する研究


論文概要

知的教授システム(ITS)について,教材構造に関する研究は,十分なされてい るわけではない.教材構造は学習者に提供する学習内容だけでなく,教材の指 導順序に関する情報も含むため,教授戦略の立案に大きな影響を与える.した がって,柔軟な教授戦略を立案するために,教材構造を検討することは重要で ある.個別教授の観点から,学習者に応じて教材を効果的に提供するためには, 教材作成者が学習者の理解度に適合した解説文や演習問題を生成でき,教材構 造を容易に変更できる必要がある.しかし,従来の教材モデルに関する研究で は,演習問題を教材構造に追加する枠組を十分に提供していない.

本論文では,LISP教授システムにおいて,プログラムの作成に関する演習問題 を追加可能にする教材モデルについて議論する.演習問題の解答に含まれる誤 りは様々であるので,診断結果に応じて,様々な教授案が存在する.したがっ て,演習問題には,解答を診断するための知識だけでなく,誤りの原因に応じ て,適切な教授案を選択するための知識も必要である.従来の誤りの検出や誤 りの原因を推定するための,解法に関する知識は複雑であるため,教材作成者 による記述が容易でなく,演習問題の新たな設定には適切ではない.そこで, 解法に関する知識を検討し,誤りの診断・誤りに応じた指導案の生成を容易に 実現する教材モデルを提案する.


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