氏名: 加藤久雄 (m953411)

論文題目: 多項式剰余列の安定な拡張算法とその応用


論文概要

ディジタル信号処理や制御工学のシステム同定において数学的手法として有 理関数近似やその部分分数展開がよく用いられる。有理関数近似を行う手法と して、従来Euclid算法が用いられるが、その算法は数値的に不安定である。 われわれはGivensの面回転による行列のQR分解を用いることによって、算 法の数値的不安定性を解決した。次数がそれぞれm,nである2つの多項式F(X), G(x)より、多項式剰余列P(i)と多項式系z^iF(z),(i=0,1,...,n-1),z^kG(z) (k=0,1,...,m-1)が張る線形空間の相異なる次数の基底R(i)を生成する。 剰余列の性質より、 A(i)F+B(i)G=P(i) , m≧n , Aの次数+Pの次数≦n が成り立つ。 これより有理式P/Aはn次以下の有理補間式であることがわかる。ただし補 間点はG(t)の零点。また基底Rを用いることにより、 P(z)=A(z)F+B(z)G (Bの次数<m) と表すことができる。これは通常孫子定理(中国剰余定理)とよばれている。 この2つの算法を基礎として代数方程式の分割統治法型解法について述べる。
目次に戻る